フジヤカメラ

 

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2016.10.30
専門店・プロレビュー,

スタッフ 高山のオレに試させろっ! 第35回「FUJIFILM (富士フイルム) フジノンレンズ XF35mmF1.4 R」 編

武甲山
f11 AE(1/280) +0.67 AWB ISO640
背景にそびえるのは武甲山。そして、中腹には工場が見えます。手前に刈り取られた稲を配置しましたが、左右に「出っ張り」が映り込まないよう、体を動かして微調整しています。山に雲がかかってしまったのは残念でしたが、曇り空でもコントラストはハッキリしています。

 

先月、秋の新製品の目玉の1つとして、FUJIFILM X-T2が発売されました。フジヤカメラ店で開催されたセミナーも盛況のうちに終了。その期待と人気の高さをあらためて感じました。初めてFUJIFILMのカメラを購入する ! という方からは、最初の一本としてどのレンズを選択しようか迷った、そんな声も聞こえてきました。ちなみにその数ヶ月前の話ですが、FUJIFILM X-T1の中古を自分で購入していまして、やはりレンズで大いに迷うことになりました。

 

X-T1はこの「オレため」で何度か試させてもらったことがあり、とても気に入っています。そして、自ら使うという立場で考えたとき、まず思い浮かんだのが、「標準画角」でこれを使ってみたいということでした。肉眼に近い、スタンダードな焦点距離。それが今回取り上げるXF35mmF1.4Rです。このレンズとカメラを使って、あちこち出かけて撮ってみました。

 

寺坂の棚田にて
f8 AE(1/450) +0.33 AWB ISO640

 

寺坂の棚田にて。東京から電車で1時間ほどのところに、こんな田園風景が広がっています。山があって田んぼがあって、稲が収穫されていて、彼岸花がある。のどかでとてもいいところでした。山の緑と稲の緑は、同じ緑でも色合いが大きく異なります。FUJIFILMでハッキリと表現できました。

 

刈られた稲と、これから刈り取られる稲
f16 AE(1/170) +0.33 AWB ISO640

 

刈られた稲と、これから刈り取られる稲。これを両方とも画面に入れて、パンフォーカス気味に狙ってみました。広角で撮ったように見えますが、これでもれっきとした標準画角なのです。こうした風景写真は35mmだけで存分に楽しめます。また、狙い方を考えるので勉強にもなります。

 

彼岸花の名所、巾着田
f14 AE(1/58) -0.67 AWB ISO1600

 

このカットだけ、埼玉県日高市にある彼岸花の名所、巾着田で撮影しています。ぐんぐん伸びている木々の下には、真っ赤な絨毯ができていました。どの木を入れてどれを入れないか、意外と悩んでしまうものです。それにしても、観光客の多さにはビックリしてしまいました。

 

東京都・立川市の国営昭和記念公園にて
f1.4 AE(1/2000) -0.67 AWB ISO400

 

ここからは東京都・立川市の国営昭和記念公園で撮影しました。35mmの開放F1.4にして遊具の向こうの葉にピントを合わせると、周囲がボケの影響で不思議な空間になりました。ぐるぐる回っているように見えます。明るいレンズは、こういう遊び心のある写真も楽しめますね。

 

日本庭園にて
f8 AE(1/240) +0.33 AWB ISO400

 

日本庭園にて。落ち着いた雰囲気のあるところです。陽が当たっていてコントラストの強い条件でした。「等間隔に並んでいる石はバランスよく、右の橋の土台部分はなるべく入れない」という考えで、人がいなくなるタイミングを待って撮影。水面に映っている緑がとてもキレイでした。こういう色合いは、FUJIFILMのカメラならでは。といえます。

 

キバナコスモス
f 8 AE(1/200) +0.67 AWB ISO320

 

大きな木の下に、キバナコスモスがいっぱい咲いていました。元気いっぱいで、この大きな木を祝福している、そんなイメージです。立派な木を中央に置き、キバナコスモスを敷き詰めて画面を作りました。この木の枝分かれしているところが、なんとも目を惹くのです。

 

早咲きのコスモス
f2 AE(1/1100) -0.33 AWB ISO320

 

早咲きのコスモスを狙ってみました。まだ咲いている数が多くないので、背景を緑にすることができたのはラッキー。花びらのふんわりした、でも芯のある描写はフジの魅力の1つです。

 

お茶碗のような花びら
f3.4 AE(1/480) -0.33 AWB ISO320

 

こちらもまだ咲き始めのようです。ちょっと丸まった花びらは、まるでお茶碗のようですね。バックの薄い丸ボケも柔らかい雰囲気です。重ならないように注意して撮影しました。

 

XF35mmF1.4+X-T1


愛機、FUJIFILM X-T1に装着。バッテリーグリップはなくても、バランスは良さそうです。フードはメタル製ですので、うっかりぶつけるとフードも気持ちも凹みます。どうぞご注意ください。

 

この35mmは、全長50.4mm、重さ187gというコンパクトな設計です。カメラに装着して正面ら見てみると、渋くてカッコいい ! よし、写真撮るぞ ! という気分になります。長時間持って歩いても苦にはなりません。被写体を見つけてピントを合わせ、もういちどファインダーで周囲を見渡して、シャッターを切る。こうした一連の動作をしっかり確認しながら、じっくりと「写真を撮る」という行為を楽しませてくれます。撮りたいものに近寄れば望遠を使った雰囲気に、距離を広げれば広角のような作風にできます。絞りのコントロールと併せて、趣の異なる写真がいくらでも撮れそうです。カメラを構えて、適切な狙いを得るために自らが動くことも楽しいですよね。そうした楽しみを教えてくれる、悦びに変えてくれる1本といえます。

 

AFの作動音はやや大きめです。静かな室内では目立ってしまうことがあるかもしれませんが、屋外撮影では、気になることはありませんでした。ピントも素早く正確ですね。レンズは8枚構成で、そのうち1枚は非球面タイプが採用されています。もともと色の良さでは定評のあるFUJIFILMですが、コントラストも晴れや曇りといった天候に左右されず、どんな状況でもメリハリの効いた描写を見せてくれるのはさすがというところです。持っていると安心できます。
カタログを見ると「XF35mmF1.4Rはフジフイルムオーナー必携レンズ」と書かれているのですが、まさに偽りなしだと思います。今後も活躍してくれる1本になるでしょう。X-T2も欲しいなぁ。

 

※撮影はすべてJpeg、手持ちで行っています。フィルムシミュレーションはVelviaに設定。

 

■撮影場所

・寺坂の棚田 ・巾着田 ・国営昭和記念公園

Photo & Text by 高山景司

 

>>> FUJIFILM (富士フイルム) フジノンレンズ XF35mmF1.4 R


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