私事で恐縮ですが、先日人間ドックを受診しました。当然、腹囲を測ります。これがなんと95cm。まぁ、メタボなわけです。これを書いている時点でまだ結果は出ていませんが、全く期待はできそうにありません。何の話かと言いますと、8月26日に発売されたニコン AF-S 105mm f/1.4E EDの第一印象が「ぶってぇなあ ! 」だったのです。「大きい」ではなく、「ぶっとい」。どうしても「メタボ」を連想してしまいました。親近感を抱いたところで「ニコン AF-S 105mm f/1.4E ED」、その実力の程を探ってみました。
大口径の105mmということでポートレイトを連想する方も多いと思いますが、まず撮ってみたいと思ったのは、京都・大原三千院にある「わらべ地蔵」です。前に写真を見たことがあって、とても興味深くて覚えていました。実際に撮影していると、AFがとても気持ち良いことに気付きます。今回から新たに電磁絞りが採用されていますが、ほとんど無音に近く、静かで、そして迷わず素早くピントを合わせてくれます 。ストレスなく撮影に集中できるので、気がついたらけっこう時間が経っていてビックリ、なんていうこともありました。
わらべ地蔵です。小さくお祈りしている姿が印象的でした。ヨコ位置では左右の木が画面に入って窮屈だったので、タテ位置にして開放感を強調。絞りはf1.4。
離れたところにあったので、緑の苔全体に浮かんで幸せそうに過ごしている情景を作り、寄り添っている2体を配しました。上の葉が相合い傘にも見えますね。
三千院に入って最初に撮影したのがこのシーン。室内から見る庭園の風景です。手始めにとf2.8で撮影したのですが、苔、葉、花の色がよく出ていて、かつディテールが見事に線として表現されました。ボケも自然な雰囲気ですね。
こちらは草の上にたたずんでいた小さな仏像。その表情には強い意志を感じました。
こちらも少し遠くに、ぽつんと置かれていた像を発見。周りの風景も入れて狙いました。遠景でも、決めたところにきっちりピントが合ってくれる。これは大きな信頼に繋がります。
寝そべっているようなお地蔵さん、ちょっと微笑んでいるようにも見えますね。全体の雰囲気を緑で統一したかったので、黒い木々がはいってしまう画面上はカット、下を多く入れて、お地蔵さんをほぼ中央に置いています。お客さんも足を止めて、見入っていました。
びっしり生えていた苔の一部分だけにピントを合わせると、前ボケと後ろボケは簡単に作れます。真ん中だけにピントを合わせた、このような写真はお手の物ですね。
「今日のフジヤ」でも紹介しましたが、さすがに重量級のレンズです。重さは985gあり、見るからにずっしりした雰囲気があります 。ところが、D810に装着すると、意外なほどになかなかの好バランスでした。ボディとレンズ、それぞれの底面が一直線上に並ぶからです。掌にカメラを乗せると、自然に親指と人差し指でピントラバーを持てます。リングも適度に軽くて、親指だけでも回せます。大型のフードは、とても迫力があります。
3枚のEDレンズを採用するなど、光学系も徹底的に磨かれています。ピントの合っているところからボケになっていくところまで、緩やかに表現されるので、中心となる被写体を大きく浮き上がらせることができます。開放f1.4から、狙ったところにしっかりピントが合い、信頼性も高いです。シャープさは文句なしのレベル。苔の緑も、鮮やかに色が出ているように感じます。このレンズで紅葉を狙ったら、いい写真が撮れそうだなぁ。
撮影場所: 天台宗 京都大原三千院※撮影はすべてJpeg、手持ちで行っています。ピクチャーコントロールは風景に設定
Photo & Text by フジヤカメラ店スタッフ 高山景司
>>> Nikon(ニコン) AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED